2015.09.02 Release
摂氏100℃の微熱
商品番号:YRBN-90975 本体価格: 4,180円(税込)
【あらすじ】
叶わないとわかっていても、あなたを愛していいですか?
2013年の初秋。
淡路島・南あわじ市に住み働く江崎千波は、通勤途中の浜辺でいつも不思議な青年を見かけていた。
ずっと海を見つめ続ける彼の背中は、どこか寂しげであった…。
来年三十路を迎える千波は、結婚を前提に付き合っていた5年越しの恋人・良平の浮気現場を目撃してしまい、さらには仕事もいきなりクビになってしまった。そんな失意の中、彼女は突然、例の浜辺の青年=五十嵐陸から「うちで働きませんか?」と声をかけられる。彼は大富豪・五十嵐一族の人間で、もともと東京に住んでいたのだが、母の病気療養に付き添い、その実家でもある淡路島に夏から長期休暇で滞在していたのだ。
寿退社したメイドに代わって、五十嵐家の豪邸で働くことになった千波は、そこで陸にぞっこんのエメラルド・ホテル令嬢みどりに睨まれ、何かと嫌がらせを受けるようになるが、一方でいきなり陸に頼まれて偽りの恋人を演じる羽目になり、陸の東京の友人であるセレブ・カップル証と柚子の観光案内を引き受けたものの、なりゆきで陸と同じホテルの部屋に泊まることに。
結局、ふたりは何事もないままに一夜を過ごし、メイドとしての日常に戻った千波ではあったが、邸内に陸のアトリエを発見し、彼が本当は絵画の道を進むことを望みつつも、五十嵐グループで亡き父の会社を継がざるを得なかったことを知る。
「五十嵐家のレールを飛び出す勇気も、絵で食べていく自信も覚悟もなかった」と自嘲する陸に、千波は「本当に描きたいものが見つかったら、また描けばいいと思います」と励ますのであった。千波も陸も、いつしかお互い心惹かれていくようになっていた。しかし同時に、生まれ育った環境の違いに戸惑い悩むようにもなっていく。そんなある嵐の夜、心配して千波の部屋を訪れた陸は、そこで彼女のことを諦めきれない良平と鉢合わせする。争い始めようとする男二人を止めようとした千波は、嵐がもたらす轟音に怯えて倒れる。
千波は、19年前、小学生のときに経験した阪神・淡路大震災のトラウマに苦しみながら、ずっと生き続けてきたのであった…。
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