【THE VIEWバイオグラフィー】
Kyle Falconer/カイル・ファルコナー(Vo/G/B) Kieren Webster/キーレン・ウェブスター(Vo/B/G)
Pete Reilly/ピーター・ライリー(G) Steven Morrison/スティーヴン・モリソン(Dr)
カイル・ファルコナーが彼と彼のバンド、The Viewに関して説明する際に語る具体的な話がある。昨年の夏のことだ。彼は自分の家のキッチンで逆立ちをしたりして、バンドのメンバーを笑わせたりしていた。
「僕はバランスを失って倒れたんだ。で、食器洗い機の上に落っこちたんだよ。そしたら脚にカーヴィング・ナイフが刺さっちゃたんだよね」と彼は高笑いをしながら思い出す。
キーレン・ウェブスターはその怪我の写真を撮った。ナイフのハンドルは突き出し、刃は3インチの深さで刺さっていた。これこそが「ファルコナーの左脚」のクローズアップ写真だ。
よく聞いてください!僕らは、死か栄光を求める向こう見ずな本当の意味でのロックンロール・バンド、の欠乏を嘆いています。精一杯に生きるスリルの為だけに存在するバンド、完全に本能だけに作用するバンド・・・・・・。しかし、The Viewはまさにそんなバンドだ。そして彼らはずっとそんなバンドだった。彼らは人に従ったりはしない。規則を守ったり物事を簡単に処理しようともしない。パッションとソウル、そして喜びを持って音楽に火をつけるのが彼らのやり方だ。
●
彼らの簡単な物語はこうだ。スコットランドのダンディーの近くにあるドライバラ出身。メンバーはカイル・ファルコナー、キーレン・ウェブスター、ピーター・ライリー、スティーヴン・モリソン。4人の学友が、パブなどでプレイするカヴァー・バンドを経て、2005年の18歳の時にThe Viewを結成した。バンド名は彼らもプレイしていた地元のパブ、ザ・ペイビュー・パブからとった。2006年には地元のダンディーのレーベルからEP『The View EP』をリリース。ダンディーでベイビー・シャンブルズがライヴをおこなった際、ピート・ドハーティにデモ・テープを渡し、それが契機となり、ザ・ストロークスやザ・リバティーンンズを手掛けたことで知られる元ラフトレードのA&R、ジェイムス・エンダコットに見いだされ、バンドは彼のソニー/BMG傘下のレーベル、1965レコーズと契約。2006年の8月にはデビューシングル「ウェイステッド・リトル・DJ's」をリリースし、MTV2/NMEチャートで1位を獲得。全英シングル・チャートでも15位を記録するヒット曲となった。またデビュー・アルバム発売前にもかかわらず、レディング/リーズ・フェスティバルに出演し、ロンドンのアストリア公演をソールド・アウトさせた。2007年1月にはデビュー・アルバム『ハッツ・オフ・トゥ・ザ・バスカーズ』をリリース。アルバムは全英アルバム・チャートで初登場1位を獲得。マーキュリー・ミュージック・プライズにもノミネートされた。このアルバムには「セイム・ジーンズ」「スーパースター・トレーズマン」「ザ・ドン」「スキャグ・トレンディ」「フェイス・フォー・ザ・レディオ」、そしてNMEのベスト・トラック・オブ・ザ・イヤーを獲得した「ウェイステッド・リトル・DJ's」他が含まれている。
彼らのデビューは当時の“ポスト・リヴァティーンズ”を求めるシーンにまさにフィットした。だから、そうしたシーンが求めるものに従って新しいアルバムを作ることが彼らにとっては最も簡単なやり方だった。しかし、The Viewはより挑戦的で多様なアルバム『フィッチ・ビッチ?』を作った。このアルバムにはグラついたフォーク・パンクから舟歌(sea shanties)まで含まれていた。2009年の2月にリリースされた『フィッチ・ビッチ?』は全英トップ5(4位)を記録し、非常に野心的なアルバムとの評価を獲得した。アルバムはウェールズでレコーディングされ、プラチナ・アルバムとなった『ハッツ・オフ・トゥ・ザ・バスカーズ』でも一緒に仕事をしたオーウェン・モリス(オアシス、ザ・ヴァーヴ他)とカイルによって共同プロデュースされた。「ショック・ホラー」「5 レベッカズ 」といった曲はバンドのライヴの中でも重要な曲となり、36都市に及ぶUKツアーも成功させた。
その後、バンドは洗練されたギター・ポップのアルバム『ブレッド・アンド・サーカシズ』を2011年3月にリリース。アルバムはプライマル・スクリームやザ・ヴァーヴを手がけたことで知られる元キリング・ジョークのユースによってプロデュースされた。バンドは今までとは違い、全てのレコーディングを完全に終えてからスタジオを後にした。
「ユースは朝の11時から夜の11時まできっちりと僕らにレコーディングをさせたんだよね」
とカイルは語る。
アルバムから「サンデイ」がファン向けにまずフリー・ダウンロードでリリースされた。その後、正式なシングル「グレイス」がリリースされた。アルバムは全英チャートで14位を記録した。
『フィッチ・ビッチ?』と『ブレッド・アンド・サーカシズ』は素晴らしいアルバムであったが、不幸にも過大視されてしまった。バンドは1965レコーズを去り、クッキング・ヴァイナルとあらたに契約。2012年には4枚目のアルバム『チーキィ・フォー・ア・リーズン』をリリースした。このアルバムはマイク・クロッシー(アークティック・モンキーズ、フォールズ他)のプロデュースで、リヴァプールでレコーディングされた。アルバムはUKトップ10ヒットとなり、Qでの4/5点はじめ多くのポジティヴなレヴューを獲得。“これまでのバンドのキャリアの中でもベストの作品”と幾つかのメディアでも評され、サンデー・メイルのグレート・スコットランド・アワードのベスト・ミュージック・アワード2012やスコティッシュ・ミュージック・アワード(Nordoff Robins Tartan Cleff Scottish Music Awards)のアルバム・オブ・ザ・イヤーを獲得した。アルバムからは、『シティ・オブ・ドッグス』(A Guide to Recognizing Your Saints)や『Red Road』で知られるマーティン・コムストンを起用したヴィデオも評価された「ハウ・ロング」がファースト・シングルとなった。
『チーキィ・フォー・ア・リーズン』の成功に続き、2007年にカイルがコカイン所有のために逮捕された時以来となるアメリカでのツアーをバンドは開始した。このバンド初となる北米ツアーは完遂され、その中にはソールド・アウトとなったニューヨークのBowdery Ballroom、LAのThe Troubadour、そしてSXSWでのショーなどが含まれていた。
The Viewの何が特別なのかはカイル・ファルコナーをみればわかる。最高のポップスターのように彼は魅了的な人物だ。チャーミングでちょっと難しく、いこじでもある。確かに彼の眼は輝いているけど、奥深くには、ディープで暗く問題を抱えたようなところもある。ちらっとストリップ・クラブや留置所での不幸な出来事を話すと、次には22歳までに両親を亡くし、それ以来、不安による発作に悩まされていることを無邪気に話す。そして、
「だって君は自分の頭の中で何が起こっているかなんて考えたりはしないからね、と僕は言われ続けてきたんだ」と肩をすくめながら話をまとめる。
ピークと谷、最高の瞬間と最低の瞬間・・・・・・。今までの彼らの瞬間をコンパイルするために、この5枚目のアルバム『セヴン・イヤー・セットリスト』は必要とされた。
「5枚目のアルバムで何をする?グレイテスト・ヒッツのアルバムでも作ろうか?」と聞かれた時、
「ファック・オフ!」とカイルは答えた。
カイル、キーレン、ピーター、そしてスティーヴンは“セットリスト・アルバム”を作りたいと考えていた。ライヴでプレイしていて楽しい曲を集めたアルバム。そして何よりも、以前はビザの問題で行けなかったが最近やっと行けるようになった国の為にライヴをプレゼンテーションするようなアルバム・・・・・・。新曲2曲(「キル・カイル」「ダーティ・マガジン」)でバンドは再びオーウェン・モリスと仕事をした。アルバムには「ウェイステッド・リトル・DJ's」「セイム・ジーンズ」「ショック・ホラー」「ハウ・ロング」「スーパースター・トレーズマン」「ザ・ドン」他が収録されている。これは英国でもベストなインディ/パンク・バンドのブリリアントな楽曲をコンパイルしたアルバムだ。
バンドは、6月15日にグラスゴー・グリーンで50,000人を集めておこなわれるザ・ストーン・ローゼズのショーのサポートをおこなう。また5月9日/10日にはダンディーの20 Rocksでホームカミング・ショーもおこなう。またTイン・ザ・パークなどのフェスティヴァルへも出演する。そして『セヴン・イヤー・セットリスト』は6月17日(日本は6月12日)にリリースされる。