LYSANDRE(リサンドレ)【日本仕様輸入盤】
CHRISTOPHER OWENS
発売日:2013年01月09日
商品番号:YRCU-98000
本体価格:
2,409円(税込)
2012年7月、ガールズを脱退したクリストファー・オウエンスのファースト・アルバムが完成。2008年、フランスのフェステイヴァルで会ったリサンドレという女性との出会いをもとに書かれた、ビルドゥングスロマーン(教養小説)、ロード・トリップ・ストーリー、そして一つのラヴ・ストーリー・・・。曲から曲へと事象の発生の順番で物語を紡いでいくコンセプト・アルバム『リサンドレ』、2013年1月9日、日本先行発売。
○アルバムのプロデュースはガールズの『ファーザー、サン、ホーリー・ゴースト』も手掛けたダク・ボーム。レコーディングは2012年の8月から9月にかけて、サンフランシスコのホビー・ショップ・スタジオで行われた。
○アルバムのアートワークの写真は、ライアン・マッギンレー(Ryan McGinley)によるもの。ライアンは、最年少でホイットニー美術館で個展をおこなったことでも知られる注目の写真家。2012年9月には、日本で初となる個展も開催された。
○2012年9月、サンローランのスプリング/サマー・ラインのインターナショナル・プリント・キャンペーンのモデルとしてクリストファーが起用されることが発表された。なお、キャンペーンで使用される写真は、イヴ・サンローランのクリエイティブ・ディレクターに就任したエディ・スリマンが撮影。
「突然の成功にどう対応していますか?」とか「ツアーをして各国の人たちに会うのはどんな感じですか?」等、初めてのインタヴューでよく聞かれることがある。僕にはこれはちょっと答えづらい質問だ。ソングライティングを通してコミュニケーションをとる者にとって、レコードこそがこうした日々の記録であり、その時々で自分が実際どう考えていたかを示すものだと思う。
僕が恋した女の子についてのアルバムだ、と『リサンドレ』は簡単に誤解されてしまうかもしれない。しかし、実際はそれ以上のものだ。確かに、愛によって「リサンドレのテーマ」を書いたけれども(実際、アルバムはこの突然の出会いの終わりとともに終焉する)、このレコードは他の物語も語っている。ファースト・ツアーの現実と課せられた全ての物事に直面した自分を突然に自覚するバンドの中のソングライターの物語。家で一人で曲を書いていたのに、ホーム・タウン以外でのショーが用意されたバンドにいる自分自身に突然気付いたソングライターの物語。これは個人の記録だ。そう自分自身の記録だ。バンドの記録ではない。世の中に知らせるべきことでもない。これは僕が感じていたことなのだ。僕の心の小さな窓なのだ。
2008年8月8日、僕はクラシック・ギターで「リサンドレのテーマ」を書いた。そう、彼女が初めてサンフランシスコに滞在した直後のことだ。2009年1月7日、どのように彼女に会ったのか、そして彼女に会ったツアーのことを言葉にするために為に、僕はじっくりと腰掛けた。そして、このテーマによって、レコード全体のコードとフォームを規定することに決めた。この曲のコードをたくさんの絵を描くためのパレットの上の絵の具にしたのだ。で、テーマによってそれぞれの物語が結びつくようなコンセプトにした。全ての曲を同類のコードで作り、決してAのキーから外れないようにした。
「ヒア・ウィー・ゴー」は僕が初めてのツアーに出る時に感じた興奮についての曲だ。「カロライナ、サウス・カロライナ」と歌い、僕らの最初の目的地について「ニューヨーク歌う僕を聴いてください」とも歌っている。「ニュー・ヨーク・シティ」は、テキサスのアマリロでの奇異な生活の後、僕の人生のある到達点での信じがたいほどの驚きについての曲だ。?
「ブロークン・ハート」は、僕がニューヨークで出会った元ボーイフレンドと、彼との出会いにより湧き出た感情についての曲だ。ツアーでは昔の知り合いに突然会ったりするんだな、と僕は学んだ。そう、僕はもう家の中には隠れていないんだ。感じることを強要されているんだ。「ヒア・ウィー・ゴー・アゲイン」は一箇所にとどまることと、惰性で次のツアー先に投げ出されることについての曲だ。動き続けなくてはならない。憂鬱にさせないでくれ。ゆっくりさせないでくれ。ショーは続くのだ。
離陸してフランスのイエールのリヴィエラに到着する飛行機の音とビーチの音のサンプリングを加えることによって、僕はアルバムにストーリー・ブックのような要素を加えたかった。「リヴィエラ・ロック」は絵を描く手助けをするような楽しい曲だ。僕らが今いるところ、そして旅はなんて素晴らしく美しいんだろう。「ラヴ・イズ・イン・ジ・イア・オブ・ザ・リスナー」は、ステージに立つことのナイーヴである意味恐怖な感情について深く探求した曲だ。僕たちの初めてのフェスティヴァルへの参加。初めての大きなステージ。全てがなんて新しかったんだろう。どんな反応を受けるかなんて関係なく自分の歌を歌う必要。ステージをみて皆は僕を断罪するか持ち上げるか決めるんだよ。
「リサンドレ」は男女が出会って恋に落ちるような(ある種)おきまりの恋愛の曲。僕がべたぼれしたけど、いかに彼女はすぐには答えてくれなかったか、みたいな。そして「エヴリホェア・ユー・ニュー」は、どのようにして僕らが恋に落ちたかの曲。リサンドレはフェスティヴァルで働いていた女の子。フェステイヴァルの後、バンドとクルーの為にパーティーが催された。僕らは皆、円のように座り、ワインを飲みながら話をした。最終的に僕は彼女に隣に座るように言った。「パーティーが終わったと思った時、こっちに来て僕の膝の上に座りなよ、と言った。君はそうした。そして、どうしてキスをしようとしなかったの、と尋ねた。君が君のお母さんの家に僕を昨日連れて行って、コーチに座ってテレビを見ていた時に、そうしようと思ったんだ。で、僕はたばこを買いにいったんだよ」曲の終わりで、自分が乗った飛行機のタイヤがパンクしたので緊急着陸をしなくてはならなかった時に僕がどのように感じたかについて、僕は語る。
これは回顧からの恩恵を受けたストーリーだ。実際、僕は一年後の2010年に「パート・オブ・ミー?(リサンドレのエピローグ)」を書いた。彼女が僕を訪ねてきて、遠距離恋愛をなんとか克服しようとした後のことだ。そして、それはかなわなかった・・・。ガールズを脱退して、僕は以前よりもっとパーソナルな形で活動をしていこうと考えた。バンドのメンバーであることをやめようと思った。そして、その決断はパーフェクトだった。だって、これは僕の物語で、パーソナルな形で語られるべきだから。
僕はたくさんの素晴らしいミュージシャンと、ガールズのこの前のアルバムもプロデュースしてくれたダク・ボームとアルバムの制作をした。僕が書いた曲に彼らは命をふきこんでくれた。彼らの仕事に感謝します。どれほどまでに僕のヴィジョンを受け入れてくれたことか。
このレコードは僕が音楽的に最も集中して努力を注いだ作品です。曲から曲へと事象の発生の順番で物語を紡いでいく。ちょっとミュージカルのようかもしれない。僕はこの作品に誇りを持っているし、とても上手くできたことを幸せに思います。それを皆と共有できることが嬉しい。これは音楽です。普遍的な概念でクラシカルなテーマです。ビルドゥングスロマーン(教養小説)、ロード・トリップ(遠征)・ストーリー、そして一つのラヴ・ストーリー。アートを介して捕まえられ、命を吹き込まれたモーメント。あなた、僕、我々の為に。役に立てるかどうかわからないけど。
クリストファー・オウエンス
(2012年10月)