木根尚登20周年記念ベスト TM楽曲集「キネバラ」
木根尚登
発売日:2012年04月18日
商品番号:YRCN-95200
本体価格:
3,143円(税込)
TMでは、バラードの作曲を手がけることが多い木根尚登。そのためいつしか、メンバーやファンの間では、木根のバラードを略し『キネバラ』と呼ばれるようになった。そのキネバラからにじみ出るせつなさとやさしさ、キネバラがかもし出す哀愁と愛おしさを再確認できるセルフカバーアルバム。木根尚登がTM NETWORKとTMNで書き下ろした全楽曲から、リクエストで選ばれた12曲を、1位「FOOL ON THE PLANET」から投票結果通りに構成。
「FOOL ON THE PLANET」
作詞:小室みつこ 作曲:木根尚登 編曲:松尾和博
ある日、ラジカセを持って家に現われた小室哲哉が、洋楽のハチロク(8分6拍子)の曲を僕に聴かせ、何の曲だったかは忘れましたけど、「こういうの作ってよ」と言ったのがこの曲誕生のきっかけでした。僕の中では、Aメロの音の飛び方が気に入っています。渡辺美里さんに書いた「eyes」とかにも通じるキネ・メロディーです。サビのコード進行も、僕が大好きなパターン。その点でも、キネバラらしいキネバラです。
(1987年TM NETWORK『Self Control』収録)
「STILL LOVE HER」
作詞: 小室哲哉 作曲: 小室哲哉・木根尚登 編曲: 馬場一嘉
オリジナル音源はロンドン・レコーディングです。小室が作った原形はABA’という構成でした。ただしA’はAを転調しただけだったので、少し味気ないのでどうにかならないだろうかと相談され、僕との共作になりました。アニメ『シティーハンター2』のエンディング・テーマだったこの曲でTM NETWORKを知ってくれたみなさんも多いようです。
(1988年TM NETWORK『CAROL』収録)
「TIME PASSED ME BY」
作詞: 小室みつこ 作曲: 木根尚登 編曲: 馬場一嘉
ある日、小室がこう言いました。「次は「イエスタデイ」みたいな曲を作ってよ」。僕はおそるおそる確かめました。「ビートルズの?」。彼はあっさり答えました。「もちろん」。その出来事から約3年が経った1990年です。僕は、ポール・マッカトニーに直接お話をうかがう機会に恵まれました。そのとき彼が生ギターを弾きながら軽く歌ってくれたのが「イエスタデイ」でした。でも、小室との会話のことは言えませんでした(笑)。
(1987年TM NETWORK『Self Control』収録)
「GIRLFRIEND」
作詞:小室みつ子 作曲:木根尚登 編曲:松尾和博
小室が宮沢りえさん、当時は“ちゃん”でしたけど、彼女の初主演映画『ぼくらの七日間戦争』の主題歌「SEVEN DAYS WAR」をレコーディングしているときでした。いきなりこう言いました。「木根、挿入歌を作ってよ」。突然の依頼、かつスクリーンで流れる曲というプレッシャーから、ピアノだけがある狭いスタジオに籠ったはいいけれど、自分がときめくメロディーがなかなか浮かばず、10時間以上もモンモンとしていたのを憶えています。
(1988年TM NETWORK『CAROL』収録)
「WINTER COMES AROUND」
作詞: 小室みつ子 作曲: 木根尚登 編曲: 松尾和博
TMのアルバム『CAROL』をレコーディングしていたロンドンで作曲したメロディーです。オリジナル音源はロンドン・フィルハーモニー・オーケストラが入り、僕の夢が現実になった1曲でしたが、ここではアコースティックギター(ガットギター)の弾き語りスタイルです。自画自賛するわけではありませんが、素晴らしいメロディーは裸になっても素晴らしい、そんな僕の信念を証明できた1曲になっていると思います。
(1988年TM NETWORK『CAROL』収録)
「TELEPHONE LINE」
作詞: 小室みつこ 作曲: 木根尚登 編曲: 馬場一嘉
この頃(87年頃)になると、“木根はバラード担当”という暗黙の了解ができあがっていました。ファンの人達の間でも、木根バラードを略した『キネバラ』という言葉が認知されいたと思います。それだけにハードルは上がり、プレッシャーも増していました。もちろん小室も素晴らしいバラードを書けるので、僕のメロディーのクオリティーが少しでも落ちると、小室が書くとなった筈です。そういう環境のおかげで僕の作曲は鍛えられたと感謝しています。
(1987年TM NETWORK『humansystem』収録)
「大地の物語」
作詞: 小室哲哉 作曲: 木根尚登 編曲: 馬場一嘉
僕にしては、めずらしい転調を使っています。その点では、作曲術を駆使した1曲と言えるかもしれません。ただ、僕の場合、作曲は常にひらめきです。自分の中の合格ラインを突き抜けるひらめきがないと、どうしても術だけに頼ったメロディーになってしまいます。この曲のひらめきは、Aメロ、特に最初の2小節のひらめきが命でした。小室の作詞と僕の作曲も、めずらしい共作パターンです。
(1991年TMN『EXPO』収録)
「CONFESSION」
作詞: 西門加里 作曲: 木根尚登 編曲: 松尾和博
TMのメンバーやファンの人達の間では、「1/2の助走」「愛をそのままに」と合わせて“バラード3部作”と呼ばれています。その3作目つまり完結編にあたるのがこの曲。だから、悩みに悩んで作曲をした記憶があります。結局、メンバーとスタッフの候補曲試聴会に2曲のデモテープを持って行きました。静まり返った部屋に、まだ歌詞も曲名もないメロディだけが流れているときの緊張感といったら…。
(1986年TM NETWORK『GORILLA』収録)
「N43」
作詞: 木根尚登 作曲: 木根尚登 編曲: 馬場一嘉
アルバム収録曲はリクエストで決定しましたが、この曲のランクインは意外でした。が、反面すごく嬉しかったです。直近のアルバムの収録曲だからです。新しい曲も支持してもらえたわけだから。自信にも励みにもなりました。ちなみに本作では唯一作詞も僕が担当しています。イメージした舞台は札幌。TMデビュー当時、なぜか札幌だけでベスト10入りし、毎週のような通っていたのを思い出し、そこからストーリーを膨らませて書きました。
(2007年TM NETWORK『SPEEDWAY』収録)
「1/2の助走」
作詞: 西門加里 作曲: 木根尚登 編曲: 松尾和博
僕が作った原形は、軽快なリズムのウエストコーストサウンドを意識した曲でした。それが小室プロデュースでバラードに変身し、キネバラの道が拓けたわけですから、小室に感謝しています。才色兼備の女性作詞、西門加里さんと出会ったのもこの曲でした。カーリー・サイモンをもじったペンネームを使っていた彼女は、のちに本名に改めることになるわけですが…。それがTMの最新シングルでも作詞してくれている小室みつ子さんです。 (1984年TM NETWORK『RAINBOW RAINBOW』収録)
「FALLIN’ ANGLE」
作詞: 小室みつ子 作曲: 木根尚登 編曲: 馬場一嘉
クレジット上では、僕ひとりの作曲になっていますが、実質的には小室との共作です。というのは、先に小室がオケを完璧に作り、そこに僕がメロディを乗せて行ったからです。Aメロだけ僕、サビだけ小室というようにメロディーラインを共作するより難しかった記憶があります。そこで発想を柔軟にして、もしも小室哲哉ならここにはどんなメロディーをつけるだろうか、そういう視点から作った箇所もあります。
(1987年TM NETWORK『humansystem』収録)
「愛をそのままに」
作詞: 西門加里 作曲: 木根尚登 編曲: 松尾和博
この曲はTM結成以前に書いていた曲です。本作では最年長のメロディーになります。でも、今回セルフカバーして思いました、全然朽ちていないと。自画自賛するわけではありませんが、素晴らしいメロディーは時を超える、そんな僕の信念を証明できた1曲になっていると思います。本作の曲順は、リクエスト通りですが、それでもアルバムとして成立するよう、この曲で着地できるよう、僕なりに工夫してみました。
(1985年TM NETWORK『CHILDHOOD'S END』収録)